歯科医院での救急対応

全身疾患

急変対応は突然、起きると覚悟!

  • いきなり、胸骨圧迫を5cmの深さで、100回/分で行う
  • 胸骨圧迫を始める前にまず応援を呼ぶ
  • 酸素投与についてもう一歩、考える

歯科で起こりやすい偶発症

  • 血管迷走神経反射(偶発症の中の7割、1年で1.9人/Dr.1名)
  • 過換気症候群
  • 誤飲・誤嚥
  • 異常高血圧
  • 局所麻酔中毒
  • アナフィラキシーショック

とにかくバイタルサイン!

  • 血圧(収縮期/拡張期)mmHg-130/80
  • 脈拍(または心拍数)bpm -60~80
  • 経費的動脈血酸素飽和度SpO2% -95

急変時『何もしない事』が1番のリスク

  • 呼吸数・体温の把握も重要
  • 主要臓器循環障害を伴う低血圧を「ショック」と呼ぶ。一般に収縮期90mmHg以下を指す
  • 普段から高血圧の患者は、180→110でもショックとなり得る!
  • 「脈拍数>収縮期血圧」をバイタルの逆転と呼び、ショックとなり得る
  • 歯科治療中は水平位となることが多く、様子がおかしく頻脈の場合、血圧低下を見逃しやすいので要注意!

何処からが、救急なのか?

  • いつもと、様子が違う?
  • さっきまでと、様子が違う?
  • 局所麻酔後に、様子が変化?
  • 抗菌薬・鎮痛薬を服用後
  • 数十分後に顔面浮腫・蕁麻疹・呼吸苦?
  • 急に診療中に胸痛・動悸を自覚
  • 処置中に喘鳴を伴う呼吸苦
  • 意識が遠くなって、やがて失神
  • 嘔気を伴う激しい頭痛やめまい、片足がや片手が動かしにくい・ろれつが回らない・失禁
  • 急変後に心停止したら?

患者さんの命を守る行動が取れますか?BLS

①意識はあるか

両肩を叩く(片麻痺の注意)、大声で呼ぶ

➡院内スタッフを集め各自に具体的な指示をする(名指しで)

  • 119番通報係
  • AED準備係
  • モニター装着係

ただでさえ非日常で緊迫した状況。

焦らない人はいない。

しかし全員があたふたしたら、まとまるものもまとまらない。

率先してリーダーとなること。

たとえ心の中が焦っていても冷静さを失わず平静を装って!

②呼吸はしているか

頭部後屈顎先挙上法で気道確保

※10秒以内、迷ったら「呼吸なし」、死戦期呼吸も「呼吸なし」

救急隊を呼び、回復体位にする

同時に頸動脈が触知可能か確認

10秒以内に触知できなければ胸骨圧迫からCRPを開始する

③直ちにCRP(心肺蘇生)を開始

胸骨圧迫からスタート

  • 押す場所:胸骨の下半分(剣状突起を押さない)
  • 押す深さ:約5㎝(6cm以上で外傷発生率上昇)
  • 回数  :100~120回/分(140回以上で浅くなる可能性上昇)

※圧迫したら毎回解除する事!→疲れると戻せなくなる

胸壁が元の位置に戻るときに全身から心臓へ血液が戻る

ドラえもんの歌(118回/分)

④胸骨圧迫30回に対し、人工呼吸2回

1秒かけて胸が上がる程度に吹き込む

※思いっきり吹き込みすぎると肺損傷や静脈還流の妨げに

ハンズオンリーのCRPでも=胸骨圧迫のみ

心肺蘇生は救急隊が到着するまでOR AEDが到着するまで絶え間なく行う(中断はいつでも10秒以内

⑤AEDの装着

すぐに電源を入れる

パッドを装着

貼る位置はパッドに描かれた絵の通りに貼る

未就学用がなければ大人用でも可(接触してしまうときは、胸と背中)

デンタルチェア上での胸骨圧迫

デンタルチェア上では圧迫の力が抜けやすい!➡

水平位でユニットの上半身部の下に丸椅子などを置き、丸イスにつくまでユニットを下げる

自信を持って使うAED

  • 解析してくれるのでAEDが有効
  • 心電図は慣れてないと無理!
  • それを自動解析してくれるのがAED
  • 電気ショックが必要なければ流れない。とにかくパッドを貼る!

「電気ショックは必要ありません」

AEDにこう言われたら戸惑いますよね・・・

無脈性の電気活動または心停止の状態であると考えられ、心肺停止状態であることに変わりない。

我々にできることは胸骨圧迫を続けること!その際パッドはつけたままにする2分ごとに心電図解析をしています。

救急車が到着するまで9.4分

○救急隊の到着まで何もしなければ助かる確率はほぼなくなる!

○迅速に胸骨圧迫を始めれば、電気ショックが10分後になったとしても60%救命できる!

BLSまとめ

  • まずは意識の確認、意識がなければ直ちに119番
  • 一人で全部やろうとしない。スタッフを集め具体的な指示を出す。
  • 呼吸の確認、頸動脈の触知は10秒以内
  • 心肺蘇生の中断はいつでも10秒以内。絶え間ない胸骨圧迫が質の高い蘇生に繋がる
  • 胸骨圧迫をしなければ、1分間に10%ずつ生存率が低下する

歯科での偶発症について

最も頻度が高い血管迷走神経発作

■歯科に対する恐怖心、不安感情の上に疼痛刺激が加わることで発生

〈症状〉気分不良の訴え、顔面蒼白、冷や汗、嘔気、意識消失

〈バイタルサイン〉血圧低下、徐脈、まれに心停止

〈対応〉水平位にして下肢挙上、酸素吸入(4~6L/分)

過換気症候群

■心因性反応のひとつ。圧倒的に女性に多い。

〈症状〉呼吸数の増加、一回換気量の増加、手指の痺れ、筋硬直、けいれん、吸気困難感、空気飢餓感

〈バイタルサイン〉あまり変化ない

〈対応〉とにかく落ち着かせる。息をこらえ、ゆっくり呼吸するよう促す。いっぱい吐くことが重要。

最も気を付けたいアナフィラキシーショック

■発生は稀だが、発症すれば症状は激烈で、進行が早く重篤。もっとも迅速な対応が求められる

■通常起因物質投与後数分以内に発症(経口の場合は30分程度)

■歯科では抗生剤、鎮痛剤、局所麻酔薬に注意

■症状が出現する順番が決まっている

〈症状〉気分不快、腹痛、口唇手足のしびれ感

皮膚掻痒感、皮膚紅潮、蕁麻疹

→喘鳴、呼吸困難感、血圧低下、頻脈

→意識消失→呼吸停止→死亡

※心停止までの時間は静脈投与5分、浸潤麻酔15分、経口30分

〈対応〉とにかく迅速さが求められる

皮膚症状に加え消化器症状、呼吸器症状、循環器症状が認められる場合は119番通報し、できる限りの処置を行う。

  • 人を集める、役割分担
  • アレルゲンと考えられるものをすべて除去
  • バイタルサインのチェック
  • 水平位、下肢挙上、酸素投与(6~8L/分)
  • エピペンの注射アナフィラキシーじゃなかったとしても大丈夫)
  • 妊婦や小児への投与もためらわない(投与時刻記録)
  • 静脈路の確保

歯科治療中に気を付けたい基礎疾患

※問診表に自己申告しない場合もある!

高血圧症

  • 日本では4300万人
  • 治療を受けているのはその半数
  • 高度の肥満、糖尿病患者、中高年以降の患者はスクリーニングもかねて治療前の血圧測定が望ましい
  • 収縮期180以上の時は、その日の処置は中止
  • 激しい頭痛、片麻痺などがみられる場合は脳血管障害が懸念されるため119番通報

狭心症

  • 前胸部、胸骨下部の胸痛、不快感、絞扼感
  • ストレス刺激が誘因
  • アドレナリン添加麻酔薬による頻脈に注意
  • シタネストの使用も選択肢に
  • 患者が持参している予防薬やニトロ舌下錠を予防投与してもよい

心筋梗塞

  • 心筋梗塞後30日経過していない時は避けるべき
  • 必ず対診を取る
  • ストレスを与えず血圧脈拍の安定を図りながら治療を行う

気管支喘息

  • 必ず対診を取る(発作の誘因(注水だけでも起こるかも)、コントロール状況、発作の頻度、投薬内容、発作時の対応)
  • 軽症以外は口腔外科での処置が望ましい
  • 発作発症時は座位にして酸素投与、緊急吸入薬を吸入させる
  • アスピリン喘息患者の投薬には注意