高血圧~パルスオキシメーターはきちんと使えてるか~

全身疾患

高血圧の人の割合は増え続けていく!

現在継続的な治療を受けている高血圧の総患者数は1,609万5,000人

これは2008年の倍の患者数となっている。

しかも自分が高血圧だと認識していない人が治療している人と同数いると推計される。50歳以上の半数は高血圧の状態。

今後65歳以上の高齢者の割合が30%から38%へ上昇していくため、今後も高血圧患者は増加傾向となる。

歯科診療中で気を付ける病態

緊急に血圧を下げなければいけない病態

  • 高血圧脳症
  • 脳血管疾患
    (脳梗塞,脳出血,くも膜下出血)
  • 急性大動脈解離
  • 急性心不全

高血圧脳症

脳,心血管系,腎臓)の障害の徴候を示す著しい血圧上昇(通常,180/120 mmHg 以上)がある

  • 激しい頭痛
  • 視界がぼやける
  • 吐き気・嘔吐
  • 意識が無くなる
  • 全身が痙攣する

⻭科治療で推奨される管理

上160以上or下100以上:5分以内に血圧の再測定
            非観血的⻭科治療
            迅速な検査・治療のための内科への紹介
            ストレスの緩和

上160~140or下100~90:通常の⻭科治療
             内科医への受診
             ストレスの緩和

治療前の血圧測定は重要

  • 高血圧だと認識していない高血圧患者がいる。
  • 内科で高血圧治療を受けていても、⻭科受診時に高血圧を示す患者がいる。
  • 疼痛を伴う治療は、最高血圧160mmHg未満を確認してから開始する。

⻭科治療は呼吸を抑制する

  • 幼児の窒息は、⻭科医療事故の大きな特徴となっている。
  • 息こらえ、唾液や水の貯留は、低酸素血症を引き起こす。

パルスオキシメーターの正しい使い方

正しく測定するためのポイント

  • 指が冷えているとき、温めて血流をよくする
  • マニキュアやジェルネイルなどを落とす
  • 指を正しい位置まで入れる(先まで)ネイルチップ×
  • 指をかえて測定する(数値に疑問を持った時)
  • 脈拍がしっかり感知されているか確認する(横向き×)
  • 脈動を検出してから20 〜30 秒後の数値を読む

疑問点

①パルスオキシメーターは正確か?

  • 「パルスオキシメーター」と名のれるのは、JIS規格を満たし、医療機器として認証されたものだけで、日本の医療機器認証番号が記載されている。
  • パルスオキシメーターの正確さには限界がある。
  • パルスオキシメーターの精度は、採血測定による値(真の値)の±2%(70≦SpO2≦100%)である。
  • ※変化をとらえることはできる!

②SpO2が正常ならば酸素は十分か?

  • 貧血では、SpO2が正常でも血液で運搬できる酸素が不足していることがある。
  • 一酸化炭素中毒、喫煙直後ではSpO2が高く表示される。
  • 息ごらえによるSpO2低下は30秒経過後に生じる。(すぐではない)

③何分くらいの息ごらえで低酸素状態になるのか?

  • 息ごらえに耐えられる時間についての報告はない。
  • 中程度の呼吸器疾患患者、幼児、肥満患者のSpO₂が90%に低下すまでの時間は、健康成人の半分以下である。(9分→4分)

④SpO2の低下をみたときは酸素吸入が必要か?

  • ⻭科治療中のSpO₂の低下をみたとき、治療をただちに中断し、吸・意識状態を確認する。
  • 酸素投与によって病状の悪化する可能性のある先天性心疾患患者では、事前に主治医から指示をもらう。
  • COPD患者への酸素吸入はSpO₂90%を目標に⾏う。
  • チアノーゼ性心疾患患者は、SpO₂75-85%で管理されているケースがある。
  • 多血症、酸素解離曲線の右方移動によって、酸素運搬が維持されている。
  • 機嫌がよければ、一時的なSpO2の低下は許容される

⑤スマートウォッチのSpO2は正確か?

  • スマートウォッチ(血中酸素ウェルネス)では、センサーに跳ね返ってきた光を測定している。
  • 医療の現場で使⽤する目的で作られたものではない』ので、パルスオキシメーターの値と比較できない
  • 息苦しさが続くときはパルスオキシメーターを使⽤する。

偶発症を引き起こさないために

  • 予備力の少ない乳幼児、高齢者、心肺機能に障害をもつ患者は、わずかな異常でも急速に悪化する。
  • 十分に既往歴を聴取し、情報提供を受ける。
  • 会話や表情、呼吸状態の観察によって、早期に異常を見つけることで、すみやかな回復が可能となる。