口腔がんとは
口腔内に発生する「がん」は以下のものです
- 口腔癌-80%以上を占める
- 唾液腺癌
- 肉腫
- 悪性リンパ腫
- 転移性癌
- その他
「がん」は悪性腫瘍全般を、「癌」は上皮性悪性腫瘍を指す。
年間発症数は6900人(2005年)
全がんの1~2%を占めます。(全頸部がんの40%を占める)
男性は女性の1.5倍の発症数です。
好発年齢は60歳から増加します。
好発部位としては、①舌、②上下歯肉です。
口腔癌(扁平上皮癌)の危険因子
- 原因は不明
◎危険因子
口腔癌の治療はやはり標準治療が推奨されます

1.早期癌
-外科治療
-放射線治療
2.進行癌
-外科治療→術後化学放射線治療
放射線66Gy+シスプラチン100mg×3回
-薬剤(分子標的薬)併用放射線療法
放射線66Gy+セツキシマブ
・治療オプション
-導入化学療法
口腔癌の術前口腔健康管理
・口腔癌(特に進行癌)の特徴
- 易出血性
- 疼痛
- 壊死
- 開口障害
これらに注意しながら、腫瘍への接触を避け、他のがんにおける治療開始前と同様に、積極的に口腔健康管理を行う。
腫瘍への接触により出血した場合の対応
・主要に機械的刺激を与えない
・縫合は行うべきでない
1.乾燥ガーゼや10万倍エピネフリンガーゼにて軽度の圧迫
2.酸化セルロースにて出血点を被覆
口腔癌治療で使用頻度の高い抗がん剤
●細胞障害性抗がん剤
- プラチナ製剤ーシスプラチン、カルボプラチン
- タキソイド系ードセタキセル、パクリタキセル
- 代謝拮抗剤ー5Fu、S1
●分子標的薬
・セツキシマブ
●免疫療法薬
・ニポルマブ
シスプラチンの主な有害事象と対応
・腎障害
ー水分摂取(水・スポーツドリンクなど)を指導
ー「いつもより多めに」程度
・悪心、嘔吐
ー急性(投与後24時間以内)
ー遅延性(投与後24時間以降)
ー制吐剤の服用確認
ー飲水量の確認(尿量の確認)
ー食事指導:食べたい時に食べたいものを
術後診察のポイント
〇切除による欠損、障害部位の把握
| 表情筋 | 頬筋、口輪筋、モダイオラス |
| 顔面神経 | 下顎縁枝、頬筋枝 |
| 下顎骨 | 欠損部位、連続性、関節頭の有無、残存歯とその植立状態 |
| 上顎骨(口蓋) | 欠損部位、上顎洞との交通、鼻腔底との交通、残存歯とその植立状態 |
| 舌 | 切除範囲、可動域 |
| 粘膜 | 変形、瘢痕化、拘縮、知覚(残存粘膜に知覚があるとは限らない) |
舌癌亜全摘出後の皮弁による再建術後の口腔機能管理
- 知覚がないー汚染に気づかない←機械的清掃
- 動きは再建できないー自浄作用の低下←機械的清掃
- 術後の期間や栄養状態により容積(形態)が変化するー誤嚥←摂食訓練
- 発毛する場合があるー不快感、汚染←脱毛
癌摘出後の咬合・咀嚼機能回復
上顎歯肉癌切除後の口腔副鼻腔瘻の閉鎖➡顎義歯
上顎歯肉癌部分切除後の咬合再建➡ザイゴマインプラントの応用
下顎骨辺縁切除後の咬合回復➡部分庄義歯(吸着は難しいためクラスプの維持力メイン)orインプラントの応用
嚥下障害のスクリーニング法
- 反復唾液嚥下テストー空嚥下を反復させるスクリーニング(高齢者は30秒に3回以上の反復が正常)
- 改訂水飲みテストー3mlの冷水を口底に入れて嚥下させ、嚥下反応、むせ、呼吸の変化を評価
- 頸部聴診法ー嚥下音、随意呼気音、自発呼吸音を聴取して、主に咽頭相における嚥下障害を判定
●嚥下口腔相の改善
- 咬合の改善(中心咬合位の確保)
- 口唇閉鎖の改善
- 舌運動の改善
舌接触補助庄PAPの応用
再発、異時性多発癌の早期発見
原発巣再発ー断端に多い、腫瘤形成、出血、色調の変化、痛みなど
頸部リンパ節転移ー無痛性腫脹
口腔多発癌(異時性)ー口腔癌既往者は、口腔の他部位に新たながんが出現
前がん病変(口腔潜在的悪性疾患)の診断
前がん病変とは正常なものと比べ明らかに癌が発生しやすい形態的な変化を伴う組織とされ、臨床的には以下が上げられる。
①白板症
②紅板症
定義としては:口腔粘膜の角化によって生ずるこすっても剥離しないもの


口腔癌のリスクマネージメント
1.生活習慣指導
・禁煙、過度の飲酒を避ける
2.口腔内環境の整備
・機械的刺激の除去
傾斜歯、う歯、不良補綴物、不適合義歯の調整
・炎症性刺激の管理
歯周病管理
3.定期的な歯科受診の推奨
・定期的な歯科受診は口腔癌のリスクを低下

