軟組織・ソケットマネージメント

口腔

インプラント治療は抜歯時からスタートしている!

抜歯創の治癒の阻害因子

  • 抜歯創の開口部での血餅や肉芽組織形成不全
  • 増殖能力の高い上皮の侵入・増殖
  • 組織内における血管増殖不全
  • 細菌感染

抜歯後の治癒過程

  • 抜歯直後       出血・血餅の形成
  • 抜歯直後から3日後   血餅・肉芽組織の形成、創傷部の浄化
  • 抜歯後3日      肉芽組織・上皮の増殖、収縮
  • 抜歯後7日      幼若結合組織・上皮の増殖
  • 抜歯後21日      結合組織・類骨の石灰化開始
  • 抜歯後6週       結合組織・線維性骨・骨梁の形成    

創傷治癒とは

一次治癒:肉芽組織が関与しない完全治癒

二次治癒:肉芽組織が関与し、創傷が大きく創面が上皮に覆われることなく露出したり、感染を合併している事が多い

肉芽組織とは

  • 抜歯窩の治癒における主役である
  • 組織修復の足場となる
  • 炎症を伴わない治癒する(した)組織である

不良肉芽とは

  • 感染によって炎症を伴う組織である
  • 治癒を妨げられた状態であり除去が望ましい
  • 「感染した組織」「炎症性肉芽組織」と認識する

インプラント周囲には角化粘膜が必要

動く歯肉=可動粘膜

動かない歯肉=角化粘膜

骨膜とは

  • 密な結合組織
  • この内側から骨を作る能力を持つ骨芽細胞が生じる(骨の再生・修復能力をもつ)
  • 骨折や手術で骨が損傷すると増骨機能を示す
  • 豊富な血管や神経があり、骨の栄養や感覚を営んでいる

材料による差はあまりなく骨膜があることが重要!

  • インプラント治療は歯の欠損部に適応されるとともに抜歯と言う過程を必ず経るはず
  • 骨欠損状態や病巣の広がりを把握するために、抜歯前診断としてのCT撮影は重要
  • 抜歯の段階からインプラント治療はスタートしており、抜歯化に対して何らかの策を講じる必要がある

ソケットプリザベーション(歯槽提保存術)とは

歯槽提保存術の歴史

抜歯窩に骨移植材を充填、歯冠方向に前進させた歯肉弁で覆う

           

バリアメンブレンを併用し、生理的骨吸収を軽減する

           

自家骨は骨形成能、骨誘導能、骨伝導能を備えるが、外科的侵襲性が高く、量も限られている自家骨の代わりに、同種移植、異種移植などの代替材料が使用される

           

e-PTFE膜などのメンブレンの感染対策としてFGGやCTG併用されるが需要に対して供給が不足

           

コラーゲンなどの吸収性材料が積極的に使用され始める

           

d-PTFE膜を用いたオープンバリア法や、PRP・PRFが用いられる

歯科生体材料の分類

●創傷被覆材

テルダーミス(GC)アテロコラーゲン

コラコート・コラテープ(インテグラルサイエンス)テンドン、腱コラーゲン

●抜歯創用止血剤

スポンゼル(山之内)ゼラチン

ゼルフォーム(アップジョン)ゼラチン

サージセル(J&J)酸化セルロース

テルプラグ(GC)アテロコラーゲン

コラプラグ(インテグラルサイエンス)腱コラーゲン

●骨補填材

・合成HA

カルシタイト(カルシテック)

オステオグラフS-D(JMM)

ボーンタイト(ペンタックス)

アパセラムAXデンタル(HOYA)気効率82.5%

ネオボーン(コバレントマテリアル)

・ウシ焼成骨HAP

ボーンジェクト(高研)気効率60%

Bio-Oss(ガイスリッヒ)

・β-TCP

オスフェリオンデンタル(GC)気効率60~75%

セラソルブ

新規生体材料

  • サイトランスグラニュール:世界初の「炭酸アパタイト」を主成分とする、国内初の「インプラント適用」が認められた顆粒状の骨補填材 
  • ボナーク:豚皮膚由来のコラーゲン中にリン酸オクタカルシウムを分散させた多孔質体で構成される30%コラーゲン使用人工骨
  • リフィット:骨の無機成分である低結晶性ハイドロキシアパタイトと、有機成分である豚真皮由来のコラーゲンからなる弾力のある骨補填材(含有比率8:2)

補填材の効果

  • スキャホールドとして血餅保持、創面の保護
  • 抜歯創開口部をできるだけ小さくし、上皮の深部への増殖を抑制し、周囲角化軟組織を温存
  • 頬側軟組織の陥凹を防止することで、口腔前庭狭小化とMGJの歯槽頂部移動防止
  • 骨膜のない部位での骨膜増殖進展エリアをより頬側外側に設定

抜歯後のインプラント埋入時期

埋入時期抜歯後の期間適応症非適応症
即時埋入type10・審美領域で、審美的に低リスク(厚い歯肉・唇側骨、歯頚部が見えにい、1本)
・骨壁に欠損なし
・単根歯
・感染なし
・審美領域で、審美的に高リスク(薄い歯肉・唇側骨≦1mm、歯頚部が見える、複数歯連続)
・骨壁の欠損
・初期固定が得られない可能性が高い時
軟組織治癒後の早期埋入
type2
4~8週・低~高リスクの審美領域の殆どの症例
・単根歯
・感染があった部位
・根尖部の骨欠損が大きく、初期固定が得られない可能性がある時
部分的骨治癒後の早期埋入
type3
12~16週・複根歯
・感染があった
・根尖部の骨欠損が大きく、type1や2では初期固定が得られない時
・当初より唇側骨に大きな欠損があり、くぼんでしまう恐れが高い時
遅延埋入
type4
6カ月以上・成長期の患者
・骨の治癒、改善に時間が必要な時(大きな嚢胞除去後や上顎洞に近接の場合)
・抜歯窩の唇舌的幅径が狭く、4カ月以上待つと歯槽提の幅径が不足する時
・当初より唇側骨に大きな欠損があり、くぼんでしまう恐れが高い時

開放創の優位性

抜歯後に開放創とするか閉鎖創とするかの問題について、骨吸収、新生骨の組成に差はない。

それどころか、開放創の方が、

  • MGJ(歯肉-歯槽粘膜境)の位置が変わらない
  • 角化歯肉幅が優位に保存される
  • 術後疼痛などの不快症状が優位に少ない

テルダーミス(真皮グラフト)を用いて疑似閉鎖創とした場合、

  • 角化歯肉形成の足場となる角化歯肉結合組織由来の線維芽細胞の取り込み
  • 歯槽粘膜の結合組織由来の線維芽細胞の取り込みの排除

               

角化歯肉挟小部周囲の角化歯肉より線維芽細胞をコラーゲン層内に取り込み、角化歯肉を増大させることが可能に

ソケットプリザベーションのイメージ

ソケットプリザベーション(歯槽提保存術)

抜歯後の再生環境の構築 ≒ or  ≠ 抜歯窩の骨増生

テルプラグの使用法

  1. 抜歯
  2. 抜歯創の肉芽を掻把、骨面を露出させる。②-1:掻把②-2:不良肉芽をバーで削合し、新鮮骨面を出す
  3. テルプラグを充填。過度な圧迫は行わず、内部よりも創面の表面側を密着させる
  4. テルプラグを過度に圧迫しないようクロス縫合を行う。

抜歯創頬側における診断分類

TypeⅠ(歯肉レベルに異常なし)の場合

・+type A(骨レベルに異常なし)=縫合のみ(場合によりテルプラグ)

・+type B (1/2骨吸収)=テルプラグ使用+縫合(場合によりテルダーミス併用)

・+type C (根尖レベルの骨吸収)=テルプラグ+テルダーミス

TypeⅡ(角化歯肉の欠損)の場合

・+type B (1/2骨吸収)=テルプラグ使用+縫合(場合によりテルダーミス併用)

・+type C (根尖レベルの骨吸収)=テルプラグ+テルダーミス

TypeⅢ(根尖レベルの歯肉退縮)の場合

・+type C (根尖レベルの骨吸収)=テルプラグ+テルダーミス

抜歯と同時の歯周外科は血液供給の点から困難

ポンティックの形態調整目的の場合、移植材や結合組織移植も適応可能

GBRをする場合は、術前に十分な軟組織量が必要となり、歯肉弁側方移動術や遊離歯肉移植術を検討する。