親知らずの抜歯・移植

痛くない親知らずの抜歯と移植



親知らずの抜歯は以前は大学病院に紹介されることが多かったと思います。親知らずは目視では見えないことの方が多く、処置をするにも細心の注意が必要となります。大きな病院の口腔外科の先生はCTなどがなくても、抜歯する機会がそもそも多いので、その経験値から予測し、不測の事態にも対処できるすべを持っているので安全だと言えるかもしれません。しかし、現在は一般の歯科診療所でも対応可能な先生が増えてきていると思います。なぜでしょう?

おそらく歯科用CTを導入している先生が増えてきたからではないでしょうか。

当院でも最新の歯科用CTを導入し診断し、実際に施術していると、今までとは比べ物にならないほどの処置のスムーズさを感じています。それは術前のイメージトレーニングが明確にできるからだと思います。

経験値という面でも、当院ではご高齢(70歳から90歳)の方々で、むし歯で歯が崩壊してしまい歯根が骨の中に埋まってしまっている状態の歯を毎日のように抜歯しております。骨の中に埋まってしまい引っかけることができない状態はまさに難しい親知らずの抜歯と同じようなものです。加えてステロイド、骨粗鬆症薬、抗がん剤を服用されている方も毎日のようにいらっしゃいます・・・ハイリスクで合併所の危険が高く、もはや大学病院の口腔外科にて治療しているかのようです。


親知らずの抜歯は痛いというイメージがあるかもしれません。下の親知らずの場合は周囲の骨がしっかりとしており、麻酔が効きにくい場所です。当院では伝達麻酔という下顎全体に効かせられる方法を用いてしっかりと痛みをコントロールしてから抜歯を行います。

怖さのほとんどは痛いんじゃないかという恐怖心だと思いますので、その点に関しましてはしっかりと時間を取り処置を行っています。他院で難しいと言われて断られるような親知らずの抜歯も基本的には当院にて行っています。

当院で抜歯できない親知らずは骨の中を通っている下歯槽神経と親知らずの根の部分が明らかに接しているケースです。CT撮影を行い、神経と接しているケースは大学病院などの口腔外科へ紹介致します。
高度医療機関とはいえ、あくまで抜歯を行う施設が変わっただけであり、親知らずの抜歯の際の神経への影響は変わらないため、高度医療機関で抜くからと言ってリスクが無いわけではございません。リスクが表面化してしまった時の対応ができるというのが高度医療機関の強みとなります。


親知らずの周りで細菌が繁殖し炎症が強くなる

親知らずは歯茎が被さっていたり、親知らずと手前の歯の間の歯周ポケットが深くなってしまったりするケースが多く、歯磨きの際に歯ブラシの毛先が簡単に届かない事により汚れが残ってしまいます。これにより親知らず付近は細菌が繁殖しやすくなります。
多くの方が日頃から親知らず周りに自覚症状のない炎症を抱えており、このような自覚症状のない小さく継続した炎症を慢性炎症と呼びます。
通常の体調の時であれば、免疫力が細菌をコントロールし炎症を小さいままにしてくれますが、風邪の病み上がりや寝不足などにより免疫力が下がってしまうと、突然細菌達が強い炎症を引き起こし、歯茎が腫れて強い痛みを伴う急性炎症を引き起こします。このようなケースを炎症の急性化と呼びます。

急性化した歯茎は抗菌薬で慢性炎症に戻してからでないと抜歯を行えないため、歯科医院を受診してもすぐに抜歯は行いません。まずは抗菌薬で強い炎症を抑えて慢性炎症に戻った段階で抜歯を行います。

むし歯が神経に達している

親知らず付近は歯ブラシが普段から物理的に届かなくなってしまっているケースが多く、十分な歯磨きが困難な事が多いことから虫歯好発部位となります。
汚れの管理ができない事から大きな虫歯ができてしまい、虫歯が親知らずの中の神経まで到達し、神経を興奮させる事により痛みが出てしまいます。

このようなケースは親知らずをすぐに抜歯しないと痛みが治まらないため、速やかに抜歯をしたいところですが、自発痛があり夜眠れないほどにズキズキしてしまっている場合はやはり急性炎症の状態ですので、一度鎮痛薬や抗菌薬で神経の興奮を抑えてあげなければ抜歯をするための麻酔が効かない事もあります。

この絵のように一つ前の歯までも大きくむし歯になってしまっているケースも多いです。このぐらいの深さですと、前方の歯の神経を取る処置をしないと痛みが治まらない事も多いです。

親知らずが反対の歯肉を噛んでしまう、頬を噛んでしまう

親知らずが変な方向に萌出してしまっている場合や、反対の噛み合う親知らずがなく、親知らずが飛び出してきたケース(廷出)などにより、歯茎や頬粘膜を傷つけてしまい、そこから化膿してしまう場合があります。意外にこれが痛いです。

このようなケースは、はえ方によっては当日抜歯を行ったり、親知らずの頭の尖っている部分を丸めたりします。


抜いたほうがいい場合(急性症状がなくても)

  • 親知らず付近の歯ぐきが何回か腫れたことがある
  • 親知らず付近がどうも痛む
  • 親知らずのはえ方が中途半端で部分的に歯肉が被さってしまっている
  • 親知らずがむし歯になっている。もしくはむし歯を何回も治療し、むし歯を繰り返している
  • 親知らずによって傷ができ、歯肉や頬や舌に口内炎ができる
  • 親知らずがあることで清掃性が悪くなり、手前の歯のむし歯や歯周病のリスクを高めている
  • レントゲンで親知らず周囲に嚢胞や良性の腫瘍が確認される

抜かなくてもいい場合

  • まっすぐに萌出しており、しっかりと噛み合わせることができる
  • 腫れたことはあるがごくたまにで、清掃状態は良好な場合
  • 骨の中に完全に埋まっていて、感染のリスクがない
  • 移植のためのドナーとして利用できる可能性がある
  • ブリッジの支えとして利用できる可能性がある

下歯槽神経の圧迫・損傷によるしびれ

下の親知らずの根の先は下歯槽神経という神経に近接しています。場合によっては神経と親知らずの根の先が触れているケースがあり、親知らずの抜歯の際に親知らずが揺らされる事によりこの神経を圧迫してしまったり、傷つけてしまう事で、唇にしびれが残ってしまうケースがございます。CT撮影を行い、下歯槽神経と親知らずの根が近接している場合はリスクを考慮したうえで、高次医療機関への受診をすすめる場合もあります。

上顎洞との交通

上の親知らずの根が上顎洞と呼ばれる鼻の空洞に飛び出している事があります。この親知らずを抜歯すると上顎洞に穴が開いてしまい、通常少しの穴であれば自然に封鎖しますが、大きく穴が開いてしまうと自然に封鎖せず、場合によっては鼻に炎症が起きてしまう事があります。穴が塞がらないケースは長期的な抗菌薬の投与を行い封鎖を待つか、歯茎を切ってその穴を縫い合わせ、封鎖する事で対処を行います。

ドライソケットによる痛み

抜歯後、歯があった部分はぽっかりと穴が開いた状態になりますが、その部分には血がたまり、血餅というかさぶたのような状態になって患部を保護してくれます。このかさぶたが上手く形成されなかったり流れてしまい骨に細菌感染が起きた状態となります。この場合、基本的には抗生剤を服用しながら時間が経過し炎症が治まるのを待つしか手立てがなく、親知らずの抜歯後に痛みが強いと世間で言われる一番の理由となっております。当院では、開いてしまった創面に人工の蓋のようなものを被せ、縫い合わせて固定し、創面の感染をなるべく少なくする処置を行います。

抜歯後出血

抜歯後一時的に出血が止まっても、再度血行が良くなる事で出血してしまい、中々出血が止まらないケースもあります。寝ている間に枕が血で汚れてしまったりすることもありますが、出ている出血量としては少量で、大概は唾液と混ざり大量に見えているだけことが多いです。念のため再度来院して頂き、圧迫止血を試みますが、血液をサラサラにする薬を飲んでいたりする事で中々出血が止まらない場合、抜歯した穴にガーゼを押し込み縫い付けて止血します(タイオーバー)。タイオーバー後、1週間経過後にガーゼを摘出します。


横にはえて大部分が歯肉の下に埋まっている下の親知らずを安全に抜歯するためにCTを撮影し下歯槽神経との関係を調べた後に抜歯した場合、3割負担で8000円程度です。

簡単に抜ける上の親知らずなどでは、レントゲンと合わせても3割負担で3000円程度です。

あくまで目安となりますので、実際に抜歯をしてみないと最終的な金額はわかりませんが参考にしてみて下さい。

親知らずの移植



宇佐見歯科医院では親知らずの移植を行う事が可能です。歯を失ってしまった、あるいは抜歯せざるを得ないほど割れてしまった歯の部分に対し親知らずを移植します。

歯根膜のチカラ

移植において最も大切な組織、それが「歯根膜」です。

歯根膜(しこんまく)とは、歯を支える歯槽骨と歯根の間にあってクッションの役割をしている線維組織のことです。歯周靭帯(じんたい)とも呼ばれます。

歯根膜には再生機能があり、移植先で骨組織を作ることができます。また、骨組織のみならず歯周組織の再生も期待できます。

自家歯牙移植において移植歯が生着するのはこの再生機能によるものです。


  1. ドナーとなる親知らずを根を傷付ける事なく良い状態で抜歯できる
  2. 移植する部位の骨に充分な高さと幅が存在し、神経だったり鼻の空洞(上顎洞)に到達せずに親知らずを埋める事ができる
  3. 親知らず移植後に根管治療が必要であるため、根が複雑な形態をしておらず根管治療が可能である
  4. 患者様が比較的若い患者様である事(40歳を過ぎると成功率がかなり下がります)
  5. できれば非喫煙者が望ましい

メリット

  • 歯根膜の存在
  • 咬む力のコントロールがしやすい
  • 若年者にも適用できる
  • アレルギーがない

デメリット

  • 条件を満たした歯がないとできない
  • 生着しないリスクもある(成功率70%)
  • 必ずしも予知性が高いとは言えない(データ上では10年程度の予後)
  • 手技として難しい(外科的侵襲が大きい)

私が経験してきた歯牙移植は40代以下の方で比較的条件がいいためか、すぐに生着し噛めるようになっています。インプラントよりも歯根膜があることから生体になじみがよく、10年以上長持ちして特にトラブルはありません。

費用としては状態にもよりますが、移植後根の治療を行い最終的な被せ物を被せるまでにおおよそ保険治療で2万5000円程度と考えられます。

亀有・綾瀬(足立・葛飾区)で移植は宇佐見歯科医院にご相談ください

このように宇佐見歯科医院では、条件が合えば歯の移植を行うことでインプラント治療を回避するという選択肢をご提供できます。足立区や葛飾区でインプラントをすすめられたけど、他の選択肢がないか困っている方、歯の移植を検討なさっている方はぜひ宇佐見歯科医院へご相談ください。